3.2道路交通条約

自動運転移動サービスを事業化するために解決しなければならない課題

自動運転移動サービスは,実証実験の段階から事業化の段階に移行しようとしています。

しかし,現状では,車両技術のみで対応が難しい場面での安全性を確保するためにドライバーや遠隔監視・操作者に従来のタクシーやバスのドライバーとほぼ同等の義務を課し,第二種免許を要求しているため,事業としての採算性を確保することがなかなか難しい状況にあります。

このような現状を打開して,安全性と採算性を両立させて事業を継続的に行えるようにしていくために解決しなければならない法的課題は何かということを明確にしたいと思い,論文を書きました。

「自動運転移動サービスの継続的な事業化に向けた法的課題~安全性と採算性の両立のために」『中京ロイヤー』vol.34,23-43頁,(2021年3月)

自動運転の法整備の解説動画

内閣府の自動運転に関する動画websiteである“SIP cafe on Tube”で,自動運転の法整備の流れを解説しました。

自動運転に関係する法規を概説した上で,2013年から2020年までの間の国内外での法整備の流れを解説しています。

短い時間でできるだけ全体像が分かるように解説しました。

自動運転と道路交通条約~車外からの操作に関する議論

自動運転 国連

前回は,国連のWP1における自動運転と道路交通条約に関する2018年及び2019年の議論の状況を全体的に見てきました。

WP1は,自動運転と道路交通条約の問題について,3つのテーマを並行して議論しています。

3つのテーマとは,

①自動運転システム作動中に運転者が行うことが許されるアザーアクティビティ

②車外からの操作

③高度・完全自動運転車両

に関する議論です。

今回は,このうち,「車外からの操作に関する議論」を整理したいと思います。

この問題は,「官民ITS構想・ロードマップ2019」が2020年までを実現期待時期としている「限定地域での無人自動運転移動サービス」に深く関わる「遠隔型自動運転システム」に関係する重要な問題です。

「車外からの操作に関する議論」に関して,WP1における議論のこれまでの流れと現在の状況を整理することにより,遠隔型自動運転システムに関する国際的議論の方向性を確認したいと思います。

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自動運転と道路交通条約~2018年・2019年の議論状況

国連

自動運転に関する国際的な議論は,自動運転が許容される範囲や運転者の義務に関しては国連のWP1という会議体において,自動車技術に関してはWP29 という会議体において,話し合われています。

今回は,2018年から2019年までのWP1の議論状況を見ていきたいと思います。

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自動運転中にはどのような「運転以外の行為」が許されるのか④

自動運転中にどのような「運転以外の行為」が許されるのかという問題について,4回にわたり,整理しています。

第1回では,①用語の確認,②問題の所在,③問題となる場面

第2回では,①国際的議論の状況,②国内的議論の状況を整理しました。

第3回では,「運転以外の行為」を検討する前提となる「運転者の義務」について検討しました。

第4回では,

①「運転以外の行為」を規定する意義

②規定の在り方

③レベル3と4(運転手あり型)での違い

④システムによるコントロールの視点

について検討したいと思います。

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自動運転中にはどのような「運転以外の行為」が許されるのか③

自動運転中にどのような「運転以外の行為」が許されるのかという問題について,4回にわたり,整理していっています。

第1回では,①用語の確認,②問題の所在,③問題となる場面

第2回では,①国際的議論の状況,②国内的議論の状況を整理しました。

第3回では,「運転以外の行為」を検討する前提となる「運転者の義務」について検討します。

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自動運転中にはどのような「運転以外の行為」が許されるのか①

私が自動運転の法律問題を研究していると話すと,結構な頻度で「自動運転が実現したら,お酒飲んだ後に寝ながら自動車に乗って家まで帰ったりできるようになるんだよね。」と言われます。

しかし,私は,「いつか完全自動運転が実現するときがくればともかくとして,しばらくはまだそんな感じにはならないよ。」と答えます。

すると,「え!どうして!?」と尋ねられます。

「自動運転中にどのような『運転以外の行為』が許されるのか」という問題については,人によって持っているイメージがかなり異なっています。

この問題についての理解が不十分なままに自動運転が導入されていくと,事故を減少するはずが,反対に事故が増加することにもなりかねません。

そこで,これから4回にわたり,「運転以外の行為」の問題について理論的に整理していきます。

そうすることにより,「運転以外の行為」の問題に関する現時点での課題を明らかにしたいと思います。

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自動運転と道路交通条約~2017年12月までの議論状況

国連では,2017年9月会議から,自動運転に関する国際的合意に向けた議論が一気にスピードを増しました。

これは,それまで,1968年ウィーン条約は改正が施行されたにもかかわらず,1949年ジュネーブ条約は改正が施行されないという二つの条約のずれが生じてしまっていたために,しばらくその問題に対する対応の方法論についての議論をしなければならなかったところ,2017年3月会議で方法論に関する議論に決着がつき,2017年9月から本格的に実質的な中身の議論に取り組めるようになったからです。

今回は,本格化した自動運転に関する国際的合意に向けた議論を理解するため,2017年9月会議と2017年12月会議の議論の状況を見ていきたいと思います。

そうすることで,自動運転に関する今後の国際的議論の方向性がわかり,これを受けた今後の国内的議論の方向性がわかるようになると思います。

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自動運転と道路交通条約~2017年3月までの議論状況

道路交通条約

ドイツは,2017年,自動運転技術の発展に対応して道路交通法を改正しました。

しかし,日本は,まだです。

ドイツと日本は,いずれも自動車を基幹産業とする国でありながら,なぜこのような違いが生じているのでしょうか。

その大きな原因は,ドイツが批准している1968年ウィーン道路交通条約は,自動運転導入のための改正の効力が生じているのに対し,日本が批准している1949年ジュネーブ道路交通条約は,自動運転導入のための改正の効力が生じていないことにあります。

この問題を解決するために,WP1(国連で道路交通条約に関する議論を行っている会議体)では,2016年から2017年にかけて,活発な議論がなされてきました。

加えて,その間,それらの議論と並行して,更なる国際法規の整備に向けた議論が進められてきました。

今回は,その議論状況を見ていきたいと思います。

この間の議論状況を理解することにより,道路交通条約に生じた問題と現在の状況と今後の方向性がすんなりわかるようになります。

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