自動運転の実用化に向けた課題として,「道路交通法規を交通の実情に合わせる」ことが必要です。
なぜなら,従来型自動車の場合,ドライバーは,道路交通法規を守りつつも,交通の流れに乗るため,ときには交通事故を防ぐために,あえて道路交通法規より交通状況に沿った行動をとることを優先しています。
これに対し,自動運転車両の場合,メーカーは,開発段階において,道路交通法規違反をするような自動車を開発することはできず,あくまで道路交通法規を遵守するという姿勢を貫かざるを得ません。
そのため,自動運転の実用化のためには,「交通の実情に照らしたときに合理性に疑問がある規定」については,「道路交通法規を交通の実情に合わせる」ことが必須となってきます。
では,(1)道路交通法規のどの規定を改正することが必要でしょうか。
また,(2)そのような改正をすることは道路交通条約に反しないでしょうか。
(1)について,2017年3月の警察庁発表の報告書を基に概観し,(2)について,1949年ジュネーブ道路交通条約の条文を基に検討してみます。