交通安全環境研究所講演会で講演をしました

2018年6月15日,国連大学ウ・タント国際会議場において,交通安全環境研究所の講演会が開催されました。

私も「自動運転に関する刑事責任 - 問題点と今後のあるべき方向性 -」というテーマで招待講演をさせていただきました。

講演では,

①現在の法律では,自動車に関する刑事責任に関してどのような規定があるのか

②自動運転が実用化されたら,自動車に関する刑事責任がどのように変容し,どのような問題が生じるのか

③その問題に対する解決策として,どのような対処が望ましいのか

をお話ししました。

講演概要がこちらの交通安全環境研究所のWebサイトに掲載されています。

 

なお,当日配布資料に誤記がありましたので,Webサイト掲載の資料では訂正してあります。

訂正箇所は,当日配布資料12頁のスライド20です。

 

技術者のための法律に関する基礎知識②~「立証責任」がどちらにあるかがとても重要

法律を専門としない方から,法律に関する文章はどうしてあんなに小難しく書いてあるんだという指摘を受けることがよくあります。

使う言葉が特殊ということもありますが,加えて,法律家同士では前提となっている法の基本原則についての説明を飛ばして,問題点の検討から始めてしまうと,法律家以外の方から見ると不親切な文章になってしまうのだと思います。

そこで,法律を専門としない方のために,法律に関する基礎知識について,自動運転の法律問題を考えるために必要と思われる範囲で,何回かに分けて,説明しています。

最低限これだけ頭に入れておけば,議論の本質は掴めるはずだと思われる知識をピックアップして説明しています。

今回は,「立証責任」について説明します。

 

関連記事:技術者のための法律に関する基礎知識①~法的責任の種類

 

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自動運転の法律問題~法律家向け勉強会パワーポイント資料

最近,法律実務家の方々から,自動運転の法律問題について質問を受けることが増えてきました。

法律実務家の方々は,様々な法律分野について幅広く日々最新の情報を収集していかなければならず,自動運転という特定の分野の情報収集にかけられる時間は限られていることと思います。

忙しい法律実務家の方々のため,2018年3月に法律実務家向けの勉強会でお話した際のパワーポイント資料をアップしております。

短時間で自動運転に関する法律問題を体系的に概観できるような資料になっていますので,参考にしていただければと思います。

 

「自動運転の法律問題」パワーポイント資料

自動運転に関する警察庁の報告書を読む際のポイント~後編

前回に引き続き,2018年4月に警察庁のWebサイトにおいて公表された自動運転に関する報告書を読む際のポイントを書いていきます。

報告書は,

第1章 調査研究の概要

第2章 ヒアリング

第3章 海外視察

第4章 自動運転の段階的実現に向けた法律上・運用上の課題の検討

という構成になっており,最も重要なのは第4章です。

第4章では,第1節でレベル3以上の自動運転の自動運転システムの実用化を念頭に入れた交通法規等の在り方について検討しており,前回はここまで見てきました

今回は,第4章のうち

第2節 隊列走行に関する課題

第3節 その他の課題

 1 遠隔型自動運転システムに関する課題

 2 社会的受容性に関する課題

について見ていきます。

「隊列走行」と「遠隔型自動運転システム」は,自動運転システムのさまざまな態様の中の一つの態様であり,各論的な位置付けになります。

ただ,どちらも2017年から日本でも公道実証実験が始められているため,早急に法律上・運用上の課題を検討しなければならない分野です。

 

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自動運転に関する警察庁の報告書を読む際のポイント~前編

2018年4月,警察庁のWebサイトにおいて,自動運転に関する報告書及びその概要が発表されました。

自動運転に関係する法律で最も重要な法律の一つが道路交通法であり,その所管庁が警察庁ですから,警察庁の公表する報告書は,大変重要な意味を持っています。

ただ,この報告書は,本文が92ページ,参考資料を含むと240ページと大部ですので,読む際のポイントを整理してみました。

この報告書を読むと,我が国における法整備の方向性が理解できます。

なお,報告書記載部分と私見部分は区別して記載し,報告書の要約にはできるだけ正確を期すよう努めましたが,より正確な理解のために,原文に当たることをお勧めいたします。

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自動運転車の実用化のための課題~道路交通法規を交通の実情に合わせる

自動運転の実用化に向けた課題として,「道路交通法規を交通の実情に合わせる」ことが必要です。

なぜなら,従来型自動車の場合,ドライバーは,道路交通法規を守りつつも,交通の流れに乗るため,ときには交通事故を防ぐために,あえて道路交通法規より交通状況に沿った行動をとることを優先しています。

これに対し,自動運転車両の場合,メーカーは,開発段階において,道路交通法規違反をするような自動車を開発することはできず,あくまで道路交通法規を遵守するという姿勢を貫かざるを得ません。

そのため,自動運転の実用化のためには,「交通の実情に照らしたときに合理性に疑問がある規定」については,「道路交通法規を交通の実情に合わせる」ことが必須となってきます。

では,(1)道路交通法規のどの規定を改正することが必要でしょうか。

また,(2)そのような改正をすることは道路交通条約に反しないでしょうか。

(1)について,2017年3月の警察庁発表の報告書を基に概観し,(2)について,1949年ジュネーブ道路交通条約の条文を基に検討してみます。

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自動運転の法律問題の検討に役立つ文献の一覧(2018年4月更新)

書籍

自動運転の法律問題の検討に役立つ書籍・論文を探すのには手間がかかります。

問題自体が新しく,また,関係してくる分野が広いためです。

そこで,自動運転の法律問題の検討に役立つ書籍・論文・資料の一覧を作りました。

この一覧は,今後も更新していきたいと思っています。

情報へのアクセスの手間と時間の省略に役立てていただけると嬉しいです。

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自動運転の法律問題の検討に役立つWebサイトの一覧(2018年6月更新)

自動運転Webサイト

自動運転の発展は著しく,大量な情報が溢れています。

大量な情報の中からできるだけ新しい第一次情報にあたることが大切だと思います。

しかし,大量の情報の中から有用な情報をピックアップするには,それだけでもかなりの時間と労力を要します。

そこで,自動運転の法律問題を検討するために役立つWebサイトの一覧を作成しました。

この一覧については,今後も更新を続けていくつもりです。

情報へのアクセスの時間を節約する一助になれば幸いです。

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自動運転と道路交通条約~2017年12月までの議論状況

国連では,2017年9月会議から,自動運転に関する国際的合意に向けた議論が一気にスピードを増しました。

これは,それまで,1968年ウィーン条約は改正が施行されたにもかかわらず,1949年ジュネーブ条約は改正が施行されないという二つの条約のずれが生じてしまっていたために,しばらくその問題に対する対応の方法論についての議論をしなければならなかったところ,2017年3月会議で方法論に関する議論に決着がつき,2017年9月から本格的に実質的な中身の議論に取り組めるようになったからです。

今回は,本格化した自動運転に関する国際的合意に向けた議論を理解するため,2017年9月会議と2017年12月会議の議論の状況を見ていきたいと思います。

そうすることで,自動運転に関する今後の国際的議論の方向性がわかり,これを受けた今後の国内的議論の方向性がわかるようになると思います。

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自動運転と道路交通条約~2017年3月までの議論状況

道路交通条約

ドイツは,2017年,自動運転技術の発展に対応して道路交通法を改正しました。

しかし,日本は,まだです。

ドイツと日本は,いずれも自動車を基幹産業とする国でありながら,なぜこのような違いが生じているのでしょうか。

その大きな原因は,ドイツが批准している1968年ウィーン道路交通条約は,自動運転導入のための改正の効力が生じているのに対し,日本が批准している1949年ジュネーブ道路交通条約は,自動運転導入のための改正の効力が生じていないことにあります。

この問題を解決するために,WP1(国連で道路交通条約に関する議論を行っている会議体)では,2016年から2017年にかけて,活発な議論がなされてきました。

加えて,その間,それらの議論と並行して,更なる国際法規の整備に向けた議論が進められてきました。

今回は,その議論状況を見ていきたいと思います。

この間の議論状況を理解することにより,道路交通条約に生じた問題と現在の状況と今後の方向性がすんなりわかるようになります。

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