4.3規制法規

自動運転移動サービスを事業化するために解決しなければならない課題

自動運転移動サービスは,実証実験の段階から事業化の段階に移行しようとしています。

しかし,現状では,車両技術のみで対応が難しい場面での安全性を確保するためにドライバーや遠隔監視・操作者に従来のタクシーやバスのドライバーとほぼ同等の義務を課し,第二種免許を要求しているため,事業としての採算性を確保することがなかなか難しい状況にあります。

このような現状を打開して,安全性と採算性を両立させて事業を継続的に行えるようにしていくために解決しなければならない法的課題は何かということを明確にしたいと思い,論文を書きました。

「自動運転移動サービスの継続的な事業化に向けた法的課題~安全性と採算性の両立のために」『中京ロイヤー』vol.34,23-43頁,(2021年3月)

自動運転の法整備の解説動画

内閣府の自動運転に関する動画websiteである“SIP cafe on Tube”で,自動運転の法整備の流れを解説しました。

自動運転に関係する法規を概説した上で,2013年から2020年までの間の国内外での法整備の流れを解説しています。

短い時間でできるだけ全体像が分かるように解説しました。

自動運転車の事故で誰が刑事責任を問われるのか

交通事故

政府は,「官民ITS構想・ロードマップ2019」で,2020年に社会実装が期待される自動運転技術として,2つのタイプの自動運転を挙げています。

1つは,「レベル3・自家用車・高速道路での自動パイロット」です。

もう1つは,「レベル4・移動サービス・限定地域での無人自動運転移動サービス」です。

これら2とおりの類型の自動運転車で事故が起きた場合,誰が刑事責任を問われるのでしょうか。

この問題に関する論文を書きました。

専門家向けの内容であり,2020年施行の道路交通法・道路運送車両法の改正を踏まえた最新の内容になっており,条文から詳細な検討を加えています。

 

「道路交通法及び道路運送車両法の改正を踏まえたレベル3自動運転車の操作引継ぎ時の交通事故の運転者の刑事責任」『中京ロイヤー』vol.32

「具体的事故事例分析を通じた自動運転車の交通事故に関する刑事責任の研究①~遠隔型自動運転システムにおける自動運行装置作動中及び遠隔操作中の事故」『中京法学』54巻3・4号

自動運転の実用化に向けた道路運送車両法の改正(5)

自動運転の実用化に向けて行われた道路運送車両法の改正の解説の第5回です。

第5回の今回は「特定整備」「技術情報の提供の義務付け」の規定について解説します。

まず,前半で特定整備について,後半で技術情報の提供の義務付けについて解説します。

それぞれについて,まず,従前の規定について解説し,次に,今回の改正点について解説します。

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自動運転の実用化に向けた道路運送車両法の改正(4)

自動運転の実用化に向けて行われた道路運送車両法の改正の解説の第4回です。

第4回の今回は,「電子的な検査に必要な技術情報の管理」を独立行政法人自動車技術総合機構が行うという規定について解説します。

まず,前提として,①「従前の検査方法」について解説し,②「新たに導入される電子的な検査」について解説した上で,③「自動車技術総合機構」が行う「電子的な検査に必要な技術情報の管理」の方法について説明します。

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自動運転の実用化に向けた道路運送車両法の改正(3)

2019年5月に行われた,レベル3以上の自動運転の実用化に向けた道路運送車両法の改正の解説の第3回です。

第1回は,総論的な解説をしました。

第2回は,改正のポイントの1つめとして,保安基準対象装置への自動運行装置の追加を解説しました。

第3回の今回は,改正のポイントの2つめとして,プログラムの改変等の許可制度について解説します。

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自動運転の実用化に向けた道路運送車両法の改正(2)

2019年5月,レベル3以上の自動運転の実用化に向けて,道路運送車両法が改正されました。

この改正について,5回にわたり解説しています。

第1回は,総論として,①道路運送車両法の位置付け,②レベル3以上で生じる問題,③改正のポイント4つを概観しました。

第2回から第5回まで,各論として,改正のポイント4つについて,1つずつ解説していきます。

第2回の今回は,改正のポイントの1つめとして,最も重要な改正点である保安基準対象装置への自動運行装置の追加について解説します。

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自動運転の実用化に向けた道路運送車両法の改正(1)

2019年5月,自動運転レベル3以上の自動運転の実用化に向けて,道路運送車両法が改正されました。

これから,5回に分けて,条文や国交省の資料に基づいて,道路運送車両法の改正の内容を解説します。

そうすることにより,今回の改正のポイントと残された課題を明らかにしていきたいと思います。

第1回は,総論として,①道路運送車両法の位置付け,②レベル3以上で生じる問題,③改正のポイント4つを概観します。

第2回から第5回まで,各論として,改正のポイント4つについてそれぞれ解説します。

第2回は,①保安基準対象装置への自動運行装置の追加

第3回は,②プログラムの改変等の許可制度

第4回は,③技術情報の管理

第5回は,④特定整備,技術情報の提供の義務付け

について解説します。

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