2018年 5月 の投稿一覧

技術者のための法律に関する基礎知識②~「立証責任」がどちらにあるかがとても重要

法律を専門としない方から,法律に関する文章はどうしてあんなに小難しく書いてあるんだという指摘を受けることがよくあります。

使う言葉が特殊ということもありますが,加えて,法律家同士では前提となっている法の基本原則についての説明を飛ばして,問題点の検討から始めてしまうと,法律家以外の方から見ると不親切な文章になってしまうのだと思います。

そこで,法律を専門としない方のために,法律に関する基礎知識について,自動運転の法律問題を考えるために必要と思われる範囲で,何回かに分けて,説明しています。

最低限これだけ頭に入れておけば,議論の本質は掴めるはずだと思われる知識をピックアップして説明しています。

今回は,「立証責任」について説明します。

 

関連記事:技術者のための法律に関する基礎知識①~法的責任の種類

 

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自動運転の法律問題~法律家向け勉強会パワーポイント資料

最近,法律実務家の方々から,自動運転の法律問題について質問を受けることが増えてきました。

法律実務家の方々は,様々な法律分野について幅広く日々最新の情報を収集していかなければならず,自動運転という特定の分野の情報収集にかけられる時間は限られていることと思います。

忙しい法律実務家の方々のため,2018年3月に法律実務家向けの勉強会でお話した際のパワーポイント資料をアップしております。

短時間で自動運転に関する法律問題を体系的に概観できるような資料になっていますので,参考にしていただければと思います。

 

「自動運転の法律問題」パワーポイント資料

警察庁の報告書から自動運転の法整備の方向性を見る~後編

前回に引き続き,2018年4月に警察庁のWebサイトにおいて公表された自動運転に関する報告書を読む際のポイントを書いていきます。

報告書は,

第1章 調査研究の概要

第2章 ヒアリング

第3章 海外視察

第4章 自動運転の段階的実現に向けた法律上・運用上の課題の検討

という構成になっており,最も重要なのは第4章です。

第4章では,第1節でレベル3以上の自動運転の自動運転システムの実用化を念頭に入れた交通法規等の在り方について検討しており,前回はここまで見てきました

今回は,第4章のうち

第2節 隊列走行に関する課題

第3節 その他の課題

 1 遠隔型自動運転システムに関する課題

 2 社会的受容性に関する課題

について見ていきます。

「隊列走行」と「遠隔型自動運転システム」は,自動運転システムのさまざまな態様の中の一つの態様であり,各論的な位置付けになります。

ただ,どちらも2017年から日本でも公道実証実験が始められているため,早急に法律上・運用上の課題を検討しなければならない分野です。

 

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