2018年 1月 の投稿一覧

自動運転と道路交通条約~2017年12月までの議論状況

国連では,2017年9月会議から,自動運転に関する国際的合意に向けた議論が一気にスピードを増しました。

これは,それまで,1968年ウィーン条約は改正が施行されたにもかかわらず,1949年ジュネーブ条約は改正が施行されないという二つの条約のずれが生じてしまっていたために,しばらくその問題に対する対応の方法論についての議論をしなければならなかったところ,2017年3月会議で方法論に関する議論に決着がつき,2017年9月から本格的に実質的な中身の議論に取り組めるようになったからです。

今回は,本格化した自動運転に関する国際的合意に向けた議論を理解するため,2017年9月会議と2017年12月会議の議論の状況を見ていきたいと思います。

そうすることで,自動運転に関する今後の国際的議論の方向性がわかり,これを受けた今後の国内的議論の方向性がわかるようになると思います。

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自動運転と道路交通条約~2017年3月までの議論状況

道路交通条約

ドイツは,2017年,自動運転技術の発展に対応して道路交通法を改正しました。

しかし,日本は,まだです。

ドイツと日本は,いずれも自動車を基幹産業とする国でありながら,なぜこのような違いが生じているのでしょうか。

その大きな原因は,ドイツが批准している1968年ウィーン道路交通条約は,自動運転導入のための改正の効力が生じているのに対し,日本が批准している1949年ジュネーブ道路交通条約は,自動運転導入のための改正の効力が生じていないことにあります。

この問題を解決するために,WP1(国連で道路交通条約に関する議論を行っている会議体)では,2016年から2017年にかけて,活発な議論がなされてきました。

加えて,その間,それらの議論と並行して,更なる国際法規の整備に向けた議論が進められてきました。

今回は,その議論状況を見ていきたいと思います。

この間の議論状況を理解することにより,道路交通条約に生じた問題と現在の状況と今後の方向性がすんなりわかるようになります。

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自動運転と道路交通条約~従前の規定と2016年3月までの議論状況~

道路交通条約 WP1

自動運転に関する法律問題を検討するには,道路交通条約について理解しておく必要があります。

なぜなら,道路交通に関係する法律として最も重要な法律は,道路交通法であり,この道路交通法の上にある規定が道路交通条約だからです。

現在,国連において,自動運転技術の発展に対応していくため,道路交通条約に関する議論が急ピッチで進んでいます。

この議論を理解するため,今回は,道路交通条約の従前の規定と,2016年3月までの国連における議論の状況について確認していきたいと思います。

この点を理解しておくことで,現在の道路交通条約に関する議論の状況をすっきり理解できようになると思います。

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自動運転に関する国際的合意及び会議体の整理

 自動運転に関する法律問題を検討するには,道路交通に関する国際的合意について理解しておく必要があります。

 理由は2つです。

 1つ目の理由は,国際的合意は,日本国内の法律の上位規範であり,日本国内の法律問題は国際的合意の効力を受けるからです。

 2目の理由は,自動車は,国際的商品ですから,国際展開していく上で,国際的合意についての理解が不可欠な分野だからです。

 そこで,自動運転の法律問題を検討する前提として,道路交通に関する国際的合意と関係する会議体を整理しておきたいと思います。

 国際的合意について理解しておくことにより,議論がガラパゴス化していくことを防げると思います。

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