自動運転に関する法的問題の検討のためには,日本国内の議論の動きだけでなく,世界全体での議論の動きを把握しておくことが必須です。
世界の議論の動きを把握するには,Googleの動きを理解しておくことが非常に有用です。
なぜ有用か。
自動運転車に対するアプローチは,大きく二つに分かれます。
1つは,従来の自動車を前提として,運転者に対する支援システムを高度化した延長線上で自動運転車をめざすアプローチです。
もう1つは,最初から,完全自動の自動運転車をめざすアプローチです。
後者の典型がGoogleです。
Googleが一足飛びに目指している完全自動の実用化には,現在の道路交通に関する規定を根幹から変更することが必要不可欠です。
そのため,Googleは,技術開発のみならず,法整備に向けた活動にも非常に熱心です。
ですから,Googleの動きを理解しておくことは,自動運転に関する法律問題を考える上で大変有用なのです。
そこで,日々流れてくるGoogleの自動運転車に関する情報の中から特に有用と思われるものを抽出し,整理して一覧にしました。
目次
1 Google Carのコンセプト
1.1 Google CarのWebサイト
GoogleがGoogle Carを紹介しているWebサイトです。
毎月1回のレポートが出されています。
「Google Self-Driving Car Project」
1.2 開発者によるTEDトーク
Google Carの開発者セバスチャン・スランのTEDトークです。
2011年のものですので,最新のGoogle Carに関する情報ではありませんが,Google Carの基本的なコンセプトを理解できます。
「TED~Google’s Driverless Car/Sebastian Thrun」
2 Google Carの技術
2.1 開発者による講義
最先端企業の専門家から最新技術に関する講義をインターネットで受けられるUdacityの講義です。
Google Carの開発者であるセバスチャン・スランによるGoogle Carの技術の講義を受講できます。
相当程度の知識と英語力が必要です。
「Udacity~Programming a Robotic Car」
2.2 同講義に関する解説
Udacityの講義を受講した方が,日本語でGoogle Carの技術を解説されています。
大変わかりやすい内容です。
3 米国連邦自動車安全規則のGoogle Carへの適用に関する解釈
3.1 米国連邦政府の見解
Googleは,2015年11月,米国運輸省国家道路交通安全局(NHTSA)に対し,米国連邦自動車安全規則をGoogle Carに適用する際の解釈についての質問書を提出しました。
NHTSAは,2016年2月,Googleに対し,それに対して回答しました。
一部の報道には,NHTSAが完全自動化の自動運転車であるGoogle Carを法的に認めたという誤解を招きかねないものも見られました。
しかし,この回答書の内容を読むと,NHTSAの真意はそのようなものではないことがわかります。
むしろ,現在の規則上は完全自動化の自動車を認めることはできないという見解を示しています。
ただ,その一方で,今後の対応に関しては前向きな姿勢も感じられます。
↑このリンク先については,一部の文字がおかしいため,もっときちんとしたデータを探しています。見つけ次第更新します。
3.2 同見解に関する解説
米国運輸省国家道路交通安全局のGoogleに対する上記回答について,日本語で解説されています。
大変わかりやすく,参考になる内容です。
4 Googleによるロビー活動
4.1 Google Xによる国連欧州経済委員会における発表
Google Carを開発しているGoogle Xは,2016年春,国連欧州経済委員会のWP1において,Google Carに関するプレゼンテーションを行っています。
WP1は,Google Xに対し,今後も情報提供を求めていくことにしています。
4.2 ロビー団体の設立
Googleは,Ford,Volvo,Uber,Lyftとともにロビー活動を行う団体を設立することとしています。
5 まとめ
以上が日々流れてくるGoogleの自動運転車に関する情報の中から特に有用と思われるものを抽出したものの一覧です。
この内容については,今後も適宜更新していくつもりです。