レベル4自動運転に向けた道路交通法の改正

2022年4月19日,レベル4自動運転の社会実装に向けた道路交通法の改正が可決されました。

この改正により,特定自動走行の許可制度が新設されます。

内閣府の自動運転に関するwebサイトである”SIP cafe”で,この制度について解説しました。

 

保安基準・国際基準の現状と自動運転に対する課題

自動運転 歩行者飛び出し

2021年5月21日に「自動運転の社会実装に伴う法律問題を考えるシンポジウム~保安基準・国際基準の現状と課題」を開催しました。

おかげさまで1000名を超える方々に参加登録いただきました。

第1部は、保安基準・国際基準の策定に取り組んでおられる国土交通省・交通安全環境研究所の方々をお招きし、法整備の現状についてお話しいただきました。

第2部は、名古屋大学 COIイノベーション受容グループ 法制度整備ユニットのメンバーが、「自動運転車は事故を回避するために交通ルールに違反することが許されるのか?」というテーマについてリレー形式でお話しいたしました。

講演資料を下記のWebサイトでご覧いただけます。

講演資料はこちら

運転支援車(レベル2)の事故の法的責任は誰にあるのか

運転支援車(レベル2)は,2016年頃から国内外で販売されています。

運転支援機能は,適切に使えば,事故を減らしたり,快適に運転したりすることが期待される機能です。

ところが,国内外において,複数の事故が発生しています。

2020年には,2018年に東名高速で起きたテスラ車の死傷事故の判決が出ています。

このようなレベル2の事故の法的責任は誰にあるのかについて論文を書きました。

具体的事故事例分析を通じた自動運転車の交通事故に関する刑事責任の研究②

~運転支援車(レベル2)の事故~

 

自動運転移動サービスを事業化するために解決しなければならない課題

自動運転移動サービスは,実証実験の段階から事業化の段階に移行しようとしています。

しかし,現状では,車両技術のみで対応が難しい場面での安全性を確保するためにドライバーや遠隔監視・操作者に従来のタクシーやバスのドライバーとほぼ同等の義務を課し,第二種免許を要求しているため,事業としての採算性を確保することがなかなか難しい状況にあります。

このような現状を打開して,安全性と採算性を両立させて事業を継続的に行えるようにしていくために解決しなければならない法的課題は何かということを明確にしたいと思い,論文を書きました。

「自動運転移動サービスの継続的な事業化に向けた法的課題~安全性と採算性の両立のために」『中京ロイヤー』vol.34,23-43頁,(2021年3月)

自動運転の法整備の解説動画

内閣府の自動運転に関する動画websiteである“SIP cafe on Tube”で,自動運転の法整備の流れを解説しました。

自動運転に関係する法規を概説した上で,2013年から2020年までの間の国内外での法整備の流れを解説しています。

短い時間でできるだけ全体像が分かるように解説しました。

自動運転車の事故で誰が刑事責任を問われるのか

交通事故

政府は,「官民ITS構想・ロードマップ2019」で,2020年に社会実装が期待される自動運転技術として,2つのタイプの自動運転を挙げています。

1つは,「レベル3・自家用車・高速道路での自動パイロット」です。

もう1つは,「レベル4・移動サービス・限定地域での無人自動運転移動サービス」です。

これら2とおりの類型の自動運転車で事故が起きた場合,誰が刑事責任を問われるのでしょうか。

この問題に関する論文を書きました。

専門家向けの内容であり,2020年施行の道路交通法・道路運送車両法の改正を踏まえた最新の内容になっており,条文から詳細な検討を加えています。

 

「道路交通法及び道路運送車両法の改正を踏まえたレベル3自動運転車の操作引継ぎ時の交通事故の運転者の刑事責任」『中京ロイヤー』vol.32

「具体的事故事例分析を通じた自動運転車の交通事故に関する刑事責任の研究①~遠隔型自動運転システムにおける自動運行装置作動中及び遠隔操作中の事故」『中京法学』54巻3・4号

自動運転と道路交通条約~車外からの操作に関する議論

自動運転 国連

前回は,国連のWP1における自動運転と道路交通条約に関する2018年及び2019年の議論の状況を全体的に見てきました。

WP1は,自動運転と道路交通条約の問題について,3つのテーマを並行して議論しています。

3つのテーマとは,

①自動運転システム作動中に運転者が行うことが許されるアザーアクティビティ

②車外からの操作

③高度・完全自動運転車両

に関する議論です。

今回は,このうち,「車外からの操作に関する議論」を整理したいと思います。

この問題は,「官民ITS構想・ロードマップ2019」が2020年までを実現期待時期としている「限定地域での無人自動運転移動サービス」に深く関わる「遠隔型自動運転システム」に関係する重要な問題です。

「車外からの操作に関する議論」に関して,WP1における議論のこれまでの流れと現在の状況を整理することにより,遠隔型自動運転システムに関する国際的議論の方向性を確認したいと思います。

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